TRIO KT-900 (4号機)

TRIO KT-900 (4号機) をゲット!

2022年5月20日、 ヤフオク で1,000円で落札した不動ジャンク品の TRIO KT-900 が到着しました。 九州からの発送だったので送料が2,020円もかかりました。

チューンアップしてみたい と思っての入手です。



程度&動作チェック

  1. オークション出品者のコメント

  2. 外観

  3. 到着した状態のまま電源 ON してチェック

  4. 天板カバーを外して内部をチェック



リペア

  1. [POWER] スイッチを ON しても電源が入らない

  2. 電源が入るようになったので動作確認

  3. FM 受信で音が出ない

    1. オシロスコープで波形観測して原因を探ってみました。

      • パルスカウント検波用の 2nd OSC が発振していないと判明しました。 これが音が出ない原因です。

    2. 2nd OSC は [TR7020] と [L5] で構成します。 おそらく、どちらかが故障している。

      • [TR7020] は多機能 IC です。

        • [IF 増幅] [クォードラチュア検波] [S メータ] [T メータ] [2nd OSC] [REC CAL OSC] の機能があります。

      • [L5] は 8.74MHz 2nd OSC 発振同調器です。

        • 混合回路で 10.7MHz (FM 1st IF) - 8.74MHz (2nd OSC) = 1.96MHz の 2nd IF を作成します。

    3. [TR7020] を交換してみました。

      • [TR7020] は TRIO-KENWOOD 製の特殊な IC で市場にはなかなかありませんが、なぜか?持っていました。

      • 基板より [TR7020] を取り外し、丸ピン IC ソケット化してから、手持ち品と交換しました。

      • 結果、音が出ない現象は変わりませんでした。 [TR7020] の故障ではないです。

    4. そうすると、[L5] の故障か?

      • [L5] を取り外して、内蔵されているチタコンを見ると真っ黒に錆びています。

      • [L5] からチタコンを取り外してから、再度基板に実装しました。

        • 内蔵チタコンの代わりに 82PF 温度補償型積層セラミックコンデンサを外付けしました。

        • 2nd OSC の発振周波数は数 % ズレても問題ないので、外付けコンデンサでも大丈夫です。

        • ちなみに計算してみると ・・・

          • 温度補償型積層セラミックコンデンサの温度勾配は 30ppm/℃ です。

          • 周囲温度25℃を中心に±25℃の温度変化 (0〜50℃) があるとします。

          • 30ppm×25℃=750ppm=0.075% です。 ±0.075% しか容量変化せず、全然問題ないです。

      • 音が出るようになりました!!! 2nd OSC が発振したのです。

      • チタコンの故障モードは短絡に近い絶縁低下です。

        • 音は出ないが時々バリバリ雑音が出ていたのは、チタコンの絶縁状態が揺らいでいたためと思います。

        • KT-900 では動作していてもバリバリ雑音が出る個体が多いそうな。 このチタコンの劣化が原因でしょう。

        • こう考えると KT-900 では、本機での対策のようにコンデンサ外付けが正解と思います。

    5. 記録写真

      • 左の写真は丸ピン IC ソケット化した [TR7020] で、手前の金属ケースに入ったコイルが [L5} です。

      • 右の写真は外付けした [82PF 温度補償型積層セラミックコンデンサ] です。 [L5] のハンダ面に付けています。

        基板の裏側が茶色くなっていますが、これは汚れではありません。 基板製造時のフラックスです。 念のため。

       

  4. FM で音が出るようになったので、再度チェック

  5. [フロントパネルの天板側への折り返し部] [天板] に線キズがある

  6. 清掃関連

    1. バリコン軸の清掃

      • バリコン軸の接触不良は感じませんでしたが、念のため KT-900 (2号機) と同じ方法で清掃しました。

      • やはり緑青錆が大量に湧き出て、除去しました。 数十年経ったバリコンは全て清掃しないとダメですね。

    2. リアパネルの端子類に薄いサビがある

    3. フロンパネル内にゴミがかなり溜まっいる

      • ダイヤル照明 LED 化作業でのついでにフロントパネル内を清掃しました。

      • 到着時は薄汚れた感じでしたが、美しくなりました。

    4. 全体は OA クリーナと一部無水アルコールで清掃しました。



ダイヤル照明とダイヤル指針の LED 化





再調整

  1. 電圧チェック

  2. 調整結果



使ってみました

  1. 世界で2番目の照明 LED 化 KT-900

  2. 感度や音質