SONY ST-J88

SONY ST-J88 がやってきた!

2012年4月29日、東京品川の A さんより SONY ST-J88 の故障品をお借りしました。

SONY PLL シンセサイザー方式チューナの初号機 で16万円もした高級 FM 専用チューナです。

A さんよりの状況報告は以下です。 煙が出た!・・・さてさて、直るかな?

  1. 約10年前に故障品を入手。 カバーを開けてみたところプリセットメモリ用の単5?充電池の液漏れにより基盤一部腐食している様子。 液漏れ電池の端子部取り外しカバーを取り付けて保管。

  2. 先日、腐食基盤の半田面に CRC-556 を噴霧。 乾燥させて通電したところ、電源のパイロットランプは点灯したが、電源基板の抵抗2本から発煙。 全て中止、カバーを取り付けて終了。 CRC-556 って潤滑油じゃなかったっけ???

  3. 発煙箇所は、電源トランスのリア側にある電源基板の左下側に2個横に並んでる抵抗です。 (電解コンデンサの右下辺り)



カバーを開けてみました

  1. 基板は部品が整然と並んでいて綺麗です。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. IC を使用して合理化が図られています。


  3. フロントエンド

  4. IF 部

  5. 検波部

  6. MPX 部



修理

  1. 電源部から煙が出た

  2. 受信できない

  3. [MUTING] ボタンの動きが重い

  4. プリセットメモリのバックアップ方法の変更



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. フロントエンド調整

  2. IF 部調整

  3. レシオ検波調整

  4. 各種レベル調整

  5. MPX 部の調整

  6. 再調整結果



使ってみました

  1. 気合の入った最高級の作り

  2. 機能

  3. 感度と音質

  4. その他



仕様その他

  1. 取扱説明書

  2. 技術解説書

  3. 回路図

  4. 形状が同じ輸出モデル ST-88B Service Manual です。 回路はかなり違いますが参考になります。

  5. 仕様は以下です。

    FM チューナー部  
    受信周波数範囲 76.0〜89.9MHz
    実用感度 (75Ω) 0.9uV (10.3dBf)
    S/N 比 mono : 80dB
    stereo : 75dB
    キャプチャレシオ Normal : 1.0dB
    Narrow : 1.7dB
    実効選択度 Normal : 25dB (300kHz), 65dB (400kHz)
    Narrow : 65dB (300kHz)
    イメージ妨害比 110dB
    IF 妨害比 110dB
    スプリアス妨害比 110dB
    高調波歪率 Normal mono : 0.04% (100Hz), 0.04% (1kHz), 0.04% (10kHz)
    Normal stereo : 0.07% (100Hz), 0.07% (1kHz), 0.15% (10kHz)
    Narrow mono : 0.08% (100Hz), 0.08% (1kHz), 0.08% (10kHz)
    Narrow stereo : 0.3% (100Hz), 0.3% (1kHz), 0.6% (10kHz)
    ステレオセパレーション Normal : 50dB (100Hz), 50dB (1kHz), 45dB (10kHz)
    Narrow : 45dB (100Hz), 45dB (1kHz), 40dB (10kHz)
    周波数特性 30Hz 〜 15kHz +0.2dB -0.5dB
    ミューティングレベル 2.5uV (19.2dBf)
    オーディオ出力レベル / インピーダンス FIXED : 750mV / 2kΩ
    VARIABLE : 0〜1.2V / 470Ω
    総合  
    電源電圧 AC100V, 50/60Hz
    消費電力 25W
    外形寸法 480(W)×80(H)×370(D)mm
    重量 7.0kg
    その他  
    発売時期 1978年
    定価 160,000円