Pioneer F-757

Pioneer F-757 をゲット!

2009年5月9日、 Pioneer F-757 のジャンク品をゲット!しました。

F-757 は F-777 のベースモデルです。 F-777 は AM ステレオ対応ですが、F-757 は対応していません。 これ以外のスペックはほぼ同じです。 私はシンセサイザーチューナーでチューニングノブは不要と考えており、F-777 より F-757 のほうがデザインが好みです。

コメント(ジャンクの理由)は以下でした。



状態チェック

  1. 外観は綺麗

  2. FM の動作状況

  3. AM の動作状況

  4. プリセットボタン [7] [9] [10] [11] [12] に若干チャタリングがあります。 交換したほうがよいかもしれません。

  5. 以上より、とりあえず修理は必要ではなく、単に再調整するだけで性能を回復すると思います。



カバーを開けてみました

  1. 内部の作りは良いですが、点検用裏蓋がなく部品量が多い大きな基板なので、メンテナンス性は非常に悪いです。 部品交換は大仕事になります。 これだから、私はパイオニアのチューナーは好みではないのです。(全てではありませんが。) 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. FM 受信部

  3. AM 受信部

  4. PLL 部は SONY CXA7025B を使ったダレクトコンパレータ方式です。

  5. 全体のコントロールは MPU の Pioneer PD5132 が行います。

  6. 使用 IC のロット番号より、この F-757 は1990年製と判明しました。 電源ケーブルの製造マーキングも1990年でした。



F-777 との違い



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. F-757 の調整ポイントは以下です。



  2. FM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 F-757 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - BAND : FM
    MPX NR : OFF
    SSS : OFF
    MPX MODE : MONO
    RF ATT : OFF
    - -  
    2 - - 90MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    L18 TP1 電圧 = 24.0V VT high
    3 - - 76MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    - TP1 電圧 = 7.5V VT low (確認のみ)
    4 76MHz 変調 : MONO
    出力 : 30dB
    76MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    L1
    T1
    T2
    TP10 電圧 = 最大  
    5 90MHz 変調 : MONO
    出力 : 30dB
    90MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    TC1
    TC2
    TC3
    TP10 電圧 = 最大  
    6 - - - - 手順4と5を数回繰り返す RF トラッキング調整
    7 83MHz 変調 : MONO
    出力 : 30dB
    83MHz 受信
    IF BAND : SUPER NARROW
    T3
    T101
    T102
    T103
    TP10 電圧 = 最大 IF 調整
    8 83MHz 変調 : MONO
    出力 : 90dB
    83MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    T201-A
    VR208
    オーディオ出力 = 高調波歪最小
     (調整目標値:0.3% 以下)
    WaveSpectraで観測
    9 83MHz 変調 : MONO
    出力 : 90dB
    83MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    T201-B TP4〜TP5 間電圧 = 0V ±100mV なら良い
    10 - - - - 手順8と9を数回繰り返す クォードラチュア検波調整
    11 83MHz 変調 : MONO
    出力 : 45dB
    83MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    VR202 TP10 電圧 = 5.00±0.05V S メータ調整 (1)
    12 83MHz 変調 : MONO
    出力 : 75dB
    83MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    VR101 TP2 電圧 = 1.40±0.05V S メータ調整 (2)
    13 83MHz 変調 : MONO
    出力 : 12dB
    83MHz 受信
    MPX MODE : AUTO
    IF BAND : NORMAL
    VR201 ちょうど MUTING OFF
    となるよう調整
    ミューティングレベル調整

  3. FM MPX 部、歪補正部、MPX NR 部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 F-757 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - BAND : FM
    MPX NR : OFF
    SSS : OFF
    MPX MODE : AUTO
    RF ATT : OFF
    - -  
    2 83MHz Pilot 信号 : OFF
    変調 : MONO
    出力 : 90dB
    83MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    VR203 TP3 出力 (AC) = 最小 SUB balanace 調整
    3 83MHz Pilot 信号 : OFF
    変調 : OFF
    出力 : 90dB
    83MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    VR601 TP7 = 38kHz ±100Hz VCO 調整
    4 83MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : OFF
    出力 : 90dB
    83MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    VR602 オーディオ出力 = 19kHz 成分最小 パイロットキャンセル調整
    WaveSpectraで観測
    5 83MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : L-ONLY
    出力 : 90dB
    83MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    VR204 オーディオ出力 = 高調波歪最小
     (調整目標値:0.3% 以下)
    ステレオ歪率調整:NORMAL
    WaveSpectraで観測
    6 83MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : L-ONLY
    出力 : 90dB
    83MHz 受信
    IF BAND : SUPER NARROW
    VR205
    T101
    オーディオ出力 = 高調波歪最小
     (調整目標値:2.0% 以下)
    ステレオ歪率調整:SUPER NARROW
    WaveSpectraで観測
    7 83MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : R-ONLY
    出力 : 90dB
    83MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    VR206 L-ch オーディオ出力 = 最小 セパレーション調整 (R→L)
    WaveSpectraで観測
    8 83MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : L-ONLY
    出力 : 90dB
    83MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    VR207 R-ch オーディオ出力 = 最小 セパレーション調整 (L→R)
    WaveSpectraで観測
    9 83MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : STEREO
    出力 : 90dB
    83MHz 受信
    IF BAND : NORMAL
    MPX NR : ON
    VR301 VR301 を時計方向一杯に回し切った後
     セパレーション = 20dB
    に調整する
    MPX NR 調整
    WaveSpectraで観測

  4. AM 部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 F-757 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - BAND : AM
    MPX NR : OFF
    SSS : OFF
    MPX MODE : AUTO
    IF BAND : NORMAL
    - -  
    2 - - 522kHz 受信 L501 TP1 電圧 = 2.0V VT low
    3 - - 1629kHz 受信 TC502 TP1 電圧 = 13.8V VT high
    4 - - - - 手順2と3を数回繰り返す VT トラッキング調整
    5 603kHz 変調 : OFF
    出力 : 30dB
    603kHz 受信 T501 TP6 電圧 = 最大  
    6 1395kHz 変調 : OFF
    出力 : 30dB
    1395kHz 受信 TC501 TP6 電圧 = 最大  
    7 - - - - 手順5と6を数回繰り返す RF トラッキング調整
    8 999kHz 変調 : OFF
    出力 : 30dB
    999kHz 受信 T502 TP6 電圧 = 最大 IF 調整

  5. 再調整結果は以下です

    項目 IF BAND L R 単位
    ステレオセパレーション NORMAL 58 60 dB
    ステレオセパレーション SUPER NARROW 51 48 dB
    パイロット信号キャリアリーク - -66 -67 dB
    オーディオ出力レベル偏差 (MONO) - 0 +0.04 dB



使ってみました

  1. スリムデザインです

  2. プリセットメモリは FM/AM ランダムに36個あります。

  3. FM 受信

  4. AM 受信

  5. SSS 機能

  6. 不思議なことに ・・・ F-777 の本体は所有していないのですが、なぜか?新品同様の F-777 純正のリモコン CU-F003 と AM ループアンテナを所有しています。 F-757 で使えるか試してみました。



S メータ



仕様