Pioneer F-500 (1号機と2号機)

Pioneer F-500 (1号機) をゲット!

2009年5月2日、 Pioneer F-500 の中古を2,000円で入手しました。 これを1号機とします。

借用した F-500 を調整して使ってみたところ、素晴らしい音質に感激しました。 そこで、F-500 を所有したくなっての入手です。



早速、程度&動作チェック

  1. 外観

  2. 入手した状態のまま電源 ON してチェックしました



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは良く、部品が綺麗に整然と並んでいます。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. 構成について

  3. FM フロントエンド

  4. FM IF 部

  5. FM 検波部

  6. MPX 部

  7. AM 部



リペア

  1. 80MHz 以下の放送局では T メータがなぜかゼロにならない

  2. AM の感度がとても悪い

  3. AC コードが根元で違うコードと接続されている

  4. S メータと T メータのランプ切れ

  5. [AM] ランプが点灯しない時がある

  6. クリーニング



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. F-500 のプリント基板には部品番号がシルク印刷されていません。 そこで、調整手順で使用する調整ポイントの部品番号を以下のように適当に振りました。



  2. FM 受信部の調整

    手順 SSG出力 F-500 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - FUNCTION : FM
    REC LEVEL CHECK : OFF
    MPX NOISE FILTER : OFF
    FM MUT/LOCK : OFF
    FM IF BAND : NARROW
    - -  
    2 83MHz
    90dB
    mono 1kHz
    83MHz 付近で受信 - オーディオ出力 = 高調波歪最小 同調点調整
    3 T4 T メータ = センタ
    4 78MHz
    90dB
    無変調
    指針を 78MHz に
    合わせる
    L5 T メータ = センタ OSC トラッキング調整
    ダイヤルと指針を合わせる
    のが目的
    5 88MHz
    90dB
    無変調
    指針を 88MHz に
    合わせる
    TC5
    6 手順4〜5を数回繰り返す
    7 83MHz
    40dB
    無変調
    83MHz 受信 TC2
    TC3
    TC4
    S メータ = 最大 RF トラッキング調整
    8 78MHz
    40dB
    無変調
    78MHz 受信 L1
    9 88MHz
    40dB
    無変調
    88MHz 受信 TC1
    10 手順8〜9を数回繰り返す
    11 83MHz
    40dB
    無変調
    83MHz 受信 T1
    T2
    T3
    S メータ = 最大 IF 調整
    12 83MHz
    30dB
    無変調
    83MHz 受信
    FM IF BAND : WIDE
    - S メータ = 記録 IF NARROW GAIN 調整
    13 83MHz 受信
    FM IF BAND : NARROW
    VR1 S メータ = 手順12と同一
    14 83MHz
    90dB
    無変調
    83MHz 受信
    FM IF BAND : WIDE
    T5 R1 (100Ω) 波形 = 最大
    オシロスコープで観測
    パルスカウント検波調整
    15 T6 TP1 = 1.26MHz
    周波数カウンタで測定
    16 VR2 TP4〜TP5 間電圧 = 0V
    17 83MHz
    40dB
    無変調
    VR3 S メータ = 4.6 S メータ調整
    18 83MHz
    20dB
    mono 1kHz
    83MHz 受信
    FM MUT/LOCK : ON
    VR4 ミューティング = ON/OFF 閾 ミューティングレベル調整
    19 83MHz
    90dB
    mono 400Hz
    83MHz 受信 - オーディオ出力 = 記録 REC LEVEL CHECK 調整
    20 REC LEVEL CHECK : ON VR5 オーディオ出力 = 手順19の -6dB
    21 - FUNCTION : FM
    REC LEVEL CHECK : OFF
    MPX NOISE FILTER : OFF
    FM MUT/LOCK : ON
    FM IF BAND : WIDE
    - -  
    22 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L+R
    83MHz 受信 VR6 以下の [VCO 調整手順] を参照 VCO 調整
    23 VR7 オーディオ出力 = 19kHz 成分最小 パイロットキャンセル調整
    24 T1
    T2
    T3
    オーディオ出力 = 高調波歪最小 IF 歪補正
    25 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz R
    VR9 オーディオ出力 (L) = 最小 WIDE
    セパレーション調整
    26 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L
    VR10 オーディオ出力 (R) = 最小
    27 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz R/L
    83MHz 受信
    FM IF BAND : NARROW
    VR8 オーディオ出力 (L/R) = 最小 NARROW
    セパレーション調整

  3. AM 受信部の調整

    手順 SSG出力 F-500 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - FUNCTION : AM
    REC LEVEL CHECK : OFF
    AM IF BAND : NARROW
    - -  
    2 600kHz
    60dB
    無変調
    600kHz 受信 TA1 S メータ = 最大 OSC トラッキング調整
    3 1400kHz
    60dB
    無変調
    1400kHz 受信 TCA2
    4 手順2〜3を数回繰り返す
    5 600kHz
    40dB
    無変調
    600kHz 受信 バーアンテナ S メータ = 最大 RF トラッキング調整
    6 1400kHz
    40dB
    無変調
    1400kHz 受信 TCA1
    7 手順5〜6を数回繰り返す
    8 1000kHz
    40dB
    無変調
    1000kHz 受信 TA3
    TA4
    S メータ = 最大 NARROW IF 調整
    9 1000kHz 受信
    AM IF BAND : WIDE
    TA2 S メータ = 最大 WIDE IF 調整
    10 - S メータ = 記録 NARROW IF ゲイン調整
    11 1000kHz 受信
    AM IF BAND : NARROW
    VRA1 S メータ = 手順10と同一

  4. 調整結果

    1. 製造後30年を経過している割には、全体にそれほど調整ズレはありませんでした。(2009年5月現在)

    2. 入手直後の状態チェックでセパレーションが出ている(40dB 以上はあるだろう。)と感じていましたが、調整前の実測で L=43dB / R=53dB ありました。 やはり自分の耳は信用できます。

    3. FM ステレオセパレーションなどは以下となりました。 良好な数値です。

      項目 IF BAND stereo/mono L R 単位
      ステレオセパレーション (1kHz) WIDE stereo 60 61 dB
      NARROW 51 52 dB
      パイロット信号キャリアリーク WIDE stereo -75 -75 dB
      オーディオ出力レベル偏差 WIDE mono 0 -0.05 dB
      REC LEVEL CHECK 信号 WIDE mono 316.4 Hz
      -6.4 -6.4 dB



使ってみました

  1. アナログチューナもなかなか良い

  2. 機能関連

  3. FM はビックリするほど良い音!

  4. AM は十分な感度とそれなりの音質



S メータ



Pioneer F-500 (2号機) をゲット!

  1. 後日、別の F-500 の寄贈を受けました

  2. 何が違うのだろう?と開けて調べてみると、電解コンデンサを交換してありました

  3. 再調整していないので音が違う可能性も考え、再調整しました

  4. 再度、聴き比べると華やかさに更に解像度が上がった感じで、寄贈された F-500 の圧勝でした



仕様ほか

  1. ドキュメント

  2. 仕様

    FM 受信部
    受信周波数範囲 76〜90MHz
    実用感度(mono, 75Ω) mono : 0.95μV/10.8dBf
    S/N 比 50dB 感度(Narrow, 75Ω) mono : 1.8μV/16.2dBf
    stereo : 20.0μV/37.2dBf
    S/N 比(85dBf 入力時) mono : 90dB
    stereo : 85dB
    高調波歪率 Wide Mono : 0.03% (100Hz), 0.03% (1kHz), 0.03% (10kHz)
    Wide Stereo : 0.04% (100Hz), 0.04% (1kHz), 0.09% (10kHz)
    Narrow Mono : 0.08% (1kHz)
    Narrow Stereo : 0.2% (1kHz)
    キャプチャーレシオ Wide : 0.8dB
    Narrow : 2.0dB
    実効選択度 Wide : 40dB (400kHz)
    Narrow : 60dB (300kHz)
    ステレオセパレーション Wide : 60dB (1kHz), 50dB (20Hz〜10kHz)
    周波数特性 20Hz〜15kHz ±0.5dB
    RF 相互変調特性 97dB (2.5MHz 離調)
    85dB (800kHz)
    イメージ妨害比 120dB
    IF 妨害比 100dB
    スプリアス妨害比 110dB
    AM 抑圧比 70dB
    サブキャリア抑圧比 70dB
    ミューティング動作レベル 4.9uV (25.0dB)
    アンテナインピーダンス 75Ω不平衡型
    300Ω平衡型
    AM 受信部
    受信周波数範囲 522〜1602kHz
    実用感度 バーアンテナ: 300μV/m
    外部アンテナ: 15μV
    選択度 Wide : 18dB
    Narrow : 50dB
    S/N 比 50dB
    イメージ妨害比 45dB
    IF 妨害比 40dB
    総合
    出力レベル/インピーダンス FM (100%変調) : 650mV/2.2kΩ (Fixed), 0〜1300mV/2.2kΩ (Variable)
    AM (30%変調) : 200mV/2.2kΩ (Fixed), 0〜400mV/2.2kΩ (Variable)
    マルチパス出力 Vertical : 130mV/10kΩ
    Horizontal : 400mV/10kΩ
    電源電圧 AC100V, 50/60Hz
    定格消費電力(電気用品取締法) 22W
    外形寸法 420(W)×98(H)×403(D)mm
    重量 6.8kg
    その他
    発売時期 1979年
    定価 49,800円