AIWA S-R7

AIWA S-R7 をゲット!

2012年5月14日、ヤフオクで AIWA S-R7 の中古を1円で落札しました。 定価は36,000円です。 36,000円とは言っても当時の優秀機 TRIO KT-80 が37,000円ですから、やや期待できるかも。

仕様は一番最後に掲載しましたが、「イメージやスプリアス妨害比より見て4連バリキャップ?」「実用選択度が 70dB あるのにキャプチャレシオが 1.5dB で収まっている?」で、これは実物を調べてみるしかないと思っての入手です。

AIWA のチューナを触るのは初めてです。

売主のコメントは以下です。

  1. 外観には中古品相応の使用感があります。

  2. 雑音は多い様な気はしますが、AM/FM とも音出し確認済みです。

  3. メモリは6個中2番目がメモリできませんでした。 他はメモリOKです。



程度&動作チェック

  1. 外観

  2. 入手した状態のまま電源 ON してチェックしました



カバーを開けてみました

  1. オーソドックスな作りです。 配線が多く、底板に点検板がないので部品交換は大変そうです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. IC を使用して合理化が図られています。


  3. IC のロット番号より、この S-R7 は1979年製と判明しました。 電源ケーブルの製造マーキングも1979年でした。

  4. FM フロントエンドはシールドボックスに入っています。 4連バリキャップでバリキャップ電圧も高いマトモな構成です。

  5. FM IF 部は以下の構成です。

  6. FM 検波部は [HA11211] によるクォードラチュア検波です。

  7. FM MPX 部は [HA12016] による PLL MPX です。

  8. AM フロントエンド部は2連バリキャップとトランジスタで構成します。 IF 部は [HA11211] で構成します。

  9. プリセットメモリのバックアップは C101 2200uF/10V です。



修理



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. FM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 S-R7 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - BAND : FM
    TUNING : AUTO
    HI-BLEND : OFF
    MODE : ST (MUTING ON)
    - -  
    2 - - 76MHz 受信 FE
    OSCコイル
    FE B2 = 3.0V  
    3 - - 90MHz 受信 FE
    OSCトリマ
    FE B2 = 21.0V  
    4 - - - - 手順2と3を数回繰り返す OSC トラッキング調整
    5 76MHz 30dB
    変調 : OFF
    76MHz 受信 FE
    RFコイル×3
    [HA11211] の左上にある
    33kΩフロント側電圧 = 最大
     
    6 90MHz 30dB
    変調 : OFF
    90MHz 受信 FE
    RFトリマ×3
    [HA11211] の左上にある
    33kΩフロント側電圧 = 最大
     
    7 - - - - 手順5と6を数回繰り返す RF トラッキング調整
    8 83MHz 90dB
    変調 : 1kHz mono
    83MHz 受信 QUAD COIL
    左コア
    オーディオ出力 = 高調波歪最小  
    9 83MHz 90dB
    変調 : 1kHz mono
    83MHz 受信 QUAD COIL
    右コア
    [HA11211] のすぐ左にある
    10kΩ両端電圧 = 0V
    (FM 同調点調整)
    10 - - - - 手順8と9を数回繰り返す QR 検波調整
    11 83MHz 90dB
    変調 : OFF
    Pilot : OFF
    83MHz 受信 SFR1 SFR1 左上の TP = 76kHz±200Hz VCO フリーラン周波数調整
    12 83MHz 90dB
    変調 : 1kHz R/L only
    Pilot : ON
    83MHz 受信 SFR2 L/R ch. オーディオ出力 = 最小 ステレオセパレーション調整
    13 83MHz 90dB
    変調 : OFF
    Pilot : ON
    83MHz 受信 LPF1
    LPF2
    オーディオ出力 = 19kHz 成分最小 キャリアリーク調整

  2. AM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 S-R7 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - BAND : AM
    TUNING : MANUAL
    - -  
    2 - - 1602kHz 受信 AMOSC [AMOSC] の右下にある
    100kΩフロント側電圧 = 27.5V
     
    3 - - 531kHz 受信 - [AMOSC] の右下にある
    100kΩフロント側電圧 = 2.3V
    確認のみ
    4 630kHz 30dB
    変調 : OFF
    630kHz 受信 バーアンテナ [AMDET] のすぐ左にある
    D5フロント側電圧 = 最大
     
    5 1440kHz 30dB
    変調 : OFF
    1440kHz 受信 TC [AMDET] のすぐ左にある
    D5フロント側電圧 = 最大
     
    6 - - - - 手順4と5を数回繰り返す RF トラッキング調整
    2 999kHz 30dB 999kHz 受信 CFT
    AMDET
    [AMDET] のすぐ左にある
    D5フロント側電圧 = 最大
    IF 調整

  3. 調整結果

    項目 L R 単位
    ステレオセパレーション 50 50 dB
    パイロット信号キャリアリーク -69 -70 dB
    オーディオ出力レベル偏差 (MONO) 0 -0.01 dB



使ってみました

  1. デザイン

  2. FM 受信

  3. AM 受信

  4. その他

  5. 総合評価



仕様

    FM 部  
    受信周波数範囲 76.0〜90.0MHz
    実用感度 IHF 0.95uV/10.8dBf (75Ω)
    キャプチャレシオ 1.5dB
    実用選択度 70dB (±400kHz)
    S/N 比 mono : 75dB
    stereo : 72dB
    イメージ妨害比 80dB
    IF 妨害比 90dB
    スプリアス妨害比 90dB
    AM 抑圧比 55dB
    高調波歪率 (1kHz) mono : 0.1%
    stereo : 0.25%
    周波数特性 30Hz〜15kHz (+0.5dB -1.5dB)
    ステレオセパレーション 40dB (1kHz)
    キャリアリーク -60dB
    アンテナインピーダンス 75Ω/300Ω
    AM 部  
    受信周波数範囲 531〜1,602kHz
    実用感度 バーアンテナ:250uV/m
    外部アンテナ:30uV
    選択度 30dB
    S/N 比 50dB (100dB 入力)
    イメージ妨害比 45dB
    IF 妨害比 35dB
    アンテナ フェライトバーアンテナ
    外部アンテナ端子
    オーディオ部  
    出力レベル (インピーダンス) FM : 150mV (2.4kΩ, 1kHz 30% 変調時)
    AM : 125mV (2.4kΩ, 1kHz 30% 変調時)
    電源部その他  
    電源電圧 AC100V, 50/60Hz
    消費電力 9W
    外形寸法 250(W)×71(H)×280(D)mm
    重量 2.4kg
    発売時期 1979年
    定価 36,000円 (税不含)