PLL 検波

原理

  1. 右図は PLL 検波の原理図です。

  2. 周波数変調された FM 入力と VCO の周波数は常に位相比較されており、その比較結果は LPF を経て VCO に帰還されます。 この結果、VCO の周波数が常に FM 入力の周波数と一致するように制御されます。 その制御出力の電圧の変化が検波出力になります。

  3. PLL 検波はこのように原理が簡単なので特殊な部品も必要なく、簡単でコストが安く高性能な検波回路を構成しやすいです。 また、「リミッタを用いないスレショルド改善が可能」というメリットもあります。

  4. PLL 検波にも欠点があります。

  5. 欠点の解決方法について



一般的な PLL 検波回路

  1. 回路図は SONY ST-S555ESX の PLL 検波部分です。 回路図をクリックすると元の pdf ファイルが見られます。

  2. この回路構成が PLL 検波では一般的です。



Victor のちょっと変わった PLL 検波回路 ・・・ 参考文献は こちら です。

  1. Victor T-7070Victor T-2020 ではちょっと変わった PLL 検波回路になっています。 Victor FX-711 では一般的な PLL 検波回路なので、Victor の古典的 PLL 検波回路 (ここでは Victor 式 PLL 検波回路 と呼びます。) と思います。 右の回路図は T-7070 の PLL 検波回路です。

  2. Victor 式 PLL 検波は [ HA11211 ]+[ディスクリート回路] で構成します。

  3. 通常のクォードラチュア検波では同調コイルの経年変化や温度変化で位相がズレやすいですが、Victor 式 PLL 検波では AFC を使ったフィードバック系でこのズレを吸収できるメリットがあります。

  4. 通常のクォードラチュア検波では正しく90度位相シフトされているのは中心周波数 10.7MHz だけで、この中心周波数から離れるごとに少しずつ位相がズレます。 これがクォードラチュア検波の歪率悪化と S/N 悪化につながります。 Victor 式 PLL 検波では広帯域で正しく90度位相シフトされるようフィードバック制御され、歪率と S/N の優位性があります。

  5. 結論として、 Victor 式 PLL 検波は改良型クォードラチュア検波 と言えます。