made in Germany
です。
DOCTER OPTICS社
は日本ではあまり知られていませんが、1990年10月3日の東西ドイツ統合の後に Carl Zeiss Jenaの双眼鏡部門を継承した会社です。
同社は非球面レンズの製造で知られ、Leicaや Angenieux社などに供給しています。
我家の最高級双眼鏡です!!!
2001年7月28日に入手しました。
購入方法と値段は内緒ですが
iGADGET.com
によると1,078ドル(2001年8月13日現在の日本円換算131,790円)で売られており、私にとって初めての6桁双眼鏡です。(6桁双眼鏡:日本円で10万円以上ということ。)
この双眼鏡については
better view desired のページ
に評価が載っています。
<スペック>
- 倍率 : 8倍
- 対物有効径 : 32mm
- 非球面レンズ使用
- プリズム : ダハプリズム方式 BaK4
- コーティング : マルチコート
- 実視界 : 7.4°
- 見掛視界 :59.0°
- 1,000m先視界 : 129m
- ひとみ径 : 4.0mm
- 明るさ : 16
- 至近距離 : 5m
- ピント合せ : DCF (Double Center Focus)
- アイリリーフ : 15mm
- サイズ(mm) : 125(W) × 128(H) × 50(D)
- 重量 : 660g
ゾクゾクとする質感の良さです。
フォーカシングノブ右上に「DOCTER aspherical」(非球面レンズ)という誇らしい金色のエンブレムが光り輝いています。
また、ストラップベルトにも「DOCTER」の誇らしいエンブレムが...。
30年保証です。
30年も経ったら私が生きているかどうかわかりませんね。
気の遠くなりそうな長期保証期間です。
これが付属品一式です。
と言っても、ストラップベルトしかないのです。
実にアッサリしています。
フォーカシングノブはごく近くに2個あるのですが、基本的に左右独立フォーカシングです。
対物に近い方のノブは右側、接眼に近い方のノブは左側のフォーカシングです。
2つのフォーカシングノブは一定の力でお互いに押さえつけられており、通常は2個同時に回ります。
視度補正はこの2個のノブの回転位置をずらすことで行います。
私としてはこういう機構は初めてです。
視度補正が確実にできるような気がします。
ゾクゾクとするマーキングです。
「8x32」は倍率と対物レンズ径を、「B」は眼鏡使用者対応であることを、「α」は非球面レンズ技術使用を表しています。
肝心の性能評価です。
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対物レンズを見ると深い紫色と青色の反射像が見えます。
ものすごく質の良いマルチコーティングです。
-
接眼レンズを見ると紫色と青色と緑色の反射像が見えます。
ものすごく質の良いマルチコーティングです。
反射像が歪むので非球面レンズが使われています。
接眼レンズ径は20mmもあります。
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高級機らしく対物から中を覗くと遮光リングが3つ見えます。
内部のつや消しも上々です。
右対物から覗くと、プリズムの近くの遮光リングに
組立者?のサイン
が見えます。
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フォーカシングでは接眼レンズに近い内部機構が動作しています。
これに関しては「安部賢一」先生からコメントをいただきました。
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この双眼鏡のフォーカーシングは、確か接眼レンズの視野レンズ(対物側の一枚)が可動しているものと思います。
この構造はこの双眼鏡のベースになった Zeiss の Notarem 8x32 から引き継いでいます。
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ちなみにこの方式の元祖は Leitz (Leicaになる以前)の旧Trinovid で1963年からのものです。
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中心から70%くらいまではハッとするような良像です。
非常にカチッとした締りの良い結像です。
非球面レンズ効果
で70%を超える範囲でも大きくボケることはなく被写体を認識できます。
かなり良いレベルです。
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着色ですが少し黄色がかって見えます。
ロシア製双眼鏡と同じ傾向です。
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夜に街灯を見てみると光芒はかなり抑えらていました。
またすごく明るく見えました。
プリズムにフェーズコートを施してあるのに間違いありません。
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「DOCTER 8x32B/GA」で鳥見してきました。越谷はあちこちに河や沼地があるので水鳥の観望はすぐに出来ます。
我家から2分も歩けば葛西用水と元荒川の両方の河があります。
そしてその2本の河の間は中州になっていて公園化されています。
ここへ行くと年中、水鳥が見られます。
覗いてみると繊細でかつ臨場感があるというか、観望対象が浮き上がって羽毛の繊維が見えるような感じです。
この双眼鏡は大正解です。
手持ちのダハプリズム式双眼鏡を比較しました。
比較評価したのは「DOCTER 8x32B/GA」「DOCTER 8x22C」「Bresser Montana 7x42DCF」「Vixen APEX 8x32HR」「Vixen ASCOT 8x22HR」の5機種です。
評価の対象は16時頃の自宅の窓から見える東京電力の電柱なので、あくまでも参考として見てください。
観望する対象が変われば評価値も変わります。
評価項目は数値では難しいので良かった順番で1位〜5位で評価採点しています。
双眼鏡 |
至近距離 |
着色 |
解像度 |
色ずれ |
周辺部のピント |
周辺部の歪 |
総合評価 |
DOCTER
8x32B/GA |
5m |
少し
黄色がかる |
1位 |
2位 |
1位 |
1位 |
1位 |
DOCTER
8x22C |
1mだが
実用は2m |
ほんの少し
黄色がかる |
2位 |
1位 |
2位 |
3位 |
2位 |
Bresser
Montana
7x42DCF |
2.5m |
なし |
3位 |
5位 |
5位 |
2位 |
3位 |
Vixen
APEX
8x32HR |
10m |
なし |
4位 |
3位 |
4位 |
5位 |
4位 |
Vixen
ASCOT
8x22HR |
2m |
なし |
5位 |
4位 |
3位 |
4位 |
5位 |
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DOCTER 8x32B/GAの圧勝です。
やはり値段だけのことはあります。
比べれば判るのですが、普通に使う分にはどれでも実用範囲です。
どの製品もマトモに作ってあればそんなに差はありません。
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評価中に気が付いたのですが、「DOCTER 8x32B/GA」の見え方は、ロシア製双眼鏡の傾向とよく似ています。
ロシア製双眼鏡は優秀なカール・ツァイス・イエナをスタンダードリファレンスにしていると思います。
DOCTERの前身はカール・ツァイス・イエナですから、素性が同じなんだと思います。
ちなみに「DOCTER 8x32B/GA」と「M-Bino 7x30WF」と見比べたところ、甲乙付けがたい・・・となりました。
「M-Bino 7x30WF」も超高級双眼鏡に匹敵するくらい性能が良いです。
ただし、着色は「M-Bino 7x30WF」のほうが全然多いです。
「DOCTER 8x32B/GA」と「Canon 8x32WP」と比較観望しました。
上の比較表には「Canon 8x32WP」は含まれていません。
「Canon 8x32WP」のほうが後で買ったからです。
と、言う訳で比較観望してみました。
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解像度とコントラスト
この2つの双眼鏡の違いは誰にでも判ります。
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「DOCTER 8x32B/GA」はハッとするような結像です。
木の葉を見ると葉っぱの1枚1枚が分離されて浮き上がるような見え方です。
全体的に硬調な見え方です。
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「Canon 8x32WP」で同じ木の葉を見ると平坦に見えます。
全体に軟調な見え方で、焦点のピークが判り辛いです。
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明るさ
これもこの2つの双眼鏡の違いは誰にでも判ります。
「DOCTER 8x32B/GA」のほうがかなり明るいです。
解像度とコントラストが良いので余計そのように感じるのかもしれません。
比較結果はやはり値段の差かなぁ...と思います。
「Canon 8x32WP」も悪い双眼鏡でなく良好の部類に属する双眼鏡でコストパーフォマンスは抜群と思います。
でも違いがあるのは止むを得ないですね。