smc PENTAX-M 50mm/F1.7 (2号機)
smc PENTAX-M 50mm/F1.7 (2号機) をゲット!
2014年2月2日、smc PENTAX-M 50mm/F1.7 の中古を
税込758円
で入手しましたが、貼り合せレンズの接着剤であるバルサムに経年変化が発生して曇りを生じていました。 このため、復活は無理と諦めていました。
ところが、その後の研究と努力の結果、2014年3月9日にやっと実用品として復活させることができました。
状況確認
外観はまあまあ綺麗です。 汚れはありますが、キズやヘコミはありません。
焦点リングや絞りリングの動きは正常です。
残念ながら、2枚貼り合せレンズのバルサムに曇りが生じています。 また、若干カビが出ています。
製造番号は 6235333 でした。
リペア
レンズの分解
ゴムオープナーで前面の [化粧リング] を外します。 外れたら、更に前面をゴムオープナーで回すと [前玉ブロック] がごっそり外れます。
後面をゴムオープナーで回すと [後玉ブロック] がごっそり外れます。
[後玉ブロック] をレンズ単位に分解しました。 バルサムが曇っている貼り合せレンズは写真左下です。
レンズのリペア
レンズのカビは
カビキラー
で簡単に除去できました。
貼り合せレンズを分離させる方法を試行してみました。
バルサムとは?
カナダバルサムの樹液です。
カナダバルサムとはクリスマスツリーに使うカナダの「樅の木」です。
融点は98℃です。
まずは、貼り合せレンズを釜茹の刑に処してみました。 グツグツ沸騰したお湯(100℃のはずでバルサムの融点より高い)の中でワリバシで摘んでみましたが、全く剥がれません ・・・ 失敗。
ワイフがつい最近、マイコン入り高機能オーブンオースターを買ったのを思い出しました。 これを使ってレンズを200℃設定で5分間の灼熱の刑に処してみました。 焼き上がり直後に取りだし、キッチングローブをして手でレンズをスライドさせると、ツルリと分離できました ・・・ 成功!
貼り合せレンズの復活
レンズに残ったバルサムは無水アルコールで完全に除去します。
レンズを貼り合せるのに新しいバルサムを使うのではなく、より簡単な白色ワセリンを使ってみました。
薬屋で280円で売られている
サンホワイト P-1
です。 通常のワセリンより純度が高い製品です。
化学的に安定な物質で、紫外線や熱・酸化の影響を受けにくく、経年変化はほぼありません。
屈折率は1.47で、クラウンガラスやバルサムの1.52に近く、問題なさそうに思います。
融点が60℃なので、この温度以上で使うには少々心配です。
通常では60℃以上の環境では使わないと思うし、もし溶けてしまっても再貼り合せは簡単です。
貼り合せ剤なしでも、おそらく写真の写りには影響ないですが、ニュートンリングが見えてしまうのがイヤなのです。 ただそれだけです。
サンホワイトをマッチ棒の先程度レンズに塗布し、レンズ同士よく回転させて気泡を追い出すと貼り合せ完了です。
バルサム除去の際に剥がれてしまったコバ塗りを黒の油性ペンで補修塗りしました。
レンズをホコリ混入と順番に注意して組み上げます。
右の写真のようにカビが綺麗に取れて新品同様になりました。
リペア後に使ってみて良好に結像しています。
優秀な smc レンズ復活!!!
かな???