キクイチ G-STEREO をゲット!
2015年3月21日、
HARD-OFF
大宮南中野店で AM/FM 多機能ラジオの [キクイチ G-STEREO] の中古ジャンク品を税込540円で購入しました。
2008年頃の製品です。
既に
キクイチは2012年10月に倒産
しています。
購入動機は「デザインが良い」「スピーカが2個あってステレオ・・・本当か?」です。
帰宅してから電網検索してみたら、このラジオは中学校の技術科の教材用にキットとして販売されていたらしいのです。
ああ、それで電気店の店頭で見かけなかったのか ・・・ 逆に素人の中学生によって作られたモノなら、こりゃ〜手直し必要だよなぁと焦りました。
分解してみたら、入手したラジオは工場で製造されていることが判りました ・・・ ホッとしました。
なかなか素晴らしい外観でしょ!
写真で見る仕様&操作方法
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230(W)×140(H)×100(D)mm, 760g (乾電池込) とホームラジオとコンパクトラジオの中間くらいの大きさです
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左サイドに高輝度白色 3連 LED が配置されており、LED ライト機能があります。
中央の LED は 10mm で、こんな大きい LED ってあるんですね〜
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背面には [FM 用ロッドアンテナ] [手回しダイナモ] [電池ボックス] があります。
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ダイナモは三相交流発電なので、左右どちらに回してもよいです。
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電池は単3電池(1.5V)×4本です。
ニッケル水素充電池(1.2V)×4本でもOKでした。
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操作部と入出力端子
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一番上の左側に [LIGHT] スイッチがあり、LED ライトの明るさを切り換えます。
[OFF] [LED 1個点灯] [LED 3個点灯] に切り換えできます。
[LED 1個点灯] では真中の一番大きい LED が点灯します。
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周波数ダイヤルすぐ上の左に [電源ソース] スイッチがあり、[電池駆動 (BATT)] / [内部コンデンサ駆動 (CAP)] を切り換えます。
内部コンデンサには大容量の電気二重層コンデンサ
10F/2.5V
が使われています。
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周波数ダイヤルすぐ上の中央に [チャージ] スイッチがあり、ダイナモによる発電を [内部コンデンサに充電 (CHARGE)] / [USB に出力 (USB OUT)] に切り換えます。
[USB に出力 (USB OUT)] では USB 端子に +5V が出力されます。
この USB 端子から携帯電話などに充電できます。
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[電源ソース] [チャージ] スイッチの間にある緑色 LED (CHARGING) はダイナモを適正な速度で回すと点灯します。
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周波数ダイヤルすぐ上の右に [バンド] スイッチがあり、[AM] [FM STEREO] [FM MONO] に切り換えます。
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下側左のノブはラジオの音量を調整します。
ラジオの電源スイッチを兼ねます。
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下側右のノブはラジオの同調です。
放送局を正常に受信できると [AM-FM LIGHT] 赤色 LED が点灯します。
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FM 受信時にステレオ受信できると [FM ST. LIGHT] 橙色 LED が点灯します。
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右サイドに [AUDIO IN] [PHONES] [USB 5V] 端子があります。
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[AUDIO IN] 端子はライン入力で、ここに入れた音声信号をスピーカから出力します。
3.5mm ステレオミニジャックです。
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[PHONES] 端子はヘッドホン出力です。
3.5mm ステレオミニジャックです。
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[USB 5V] 端子にダイナモ発電の +5V を出力します。
メンテナンス
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不具合?
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動作チェックをしてみて何の異常もなく良好動作しますが、外観上でやや問題があります。
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ロッドアンテナの根元がグラグラしています。
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LED ライトの透明プラスチックレンズに若干のキズがあります。
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これらを修理するには分解するしかありません。
早速実行しました。
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分解&観察
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背面側から4本のプラスネジを外すと右の写真のように前後に開きます。
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安いラジオは作りがプアであることが多いですが、このラジオはしっかりした作りです。
使っている部品のグレードが高いです。
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基板は1枚モノではなく、全部で4枚の基板で構成されています。
また、各基板がコネクタ接続されているので完全に1枚ずつ分離できます。
メンテナンス性が良いです。
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手前の中央にある小さい基板に搭載されている緑色の部品は 10F/2.5V の電気二重層コンデンサです。
ここにダイナモ発電した電気が蓄えられます。
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手前にある小さい3枚の基板は何の役目があるのだろう?と興味を持って回路図化してみました。
回路図をクリックすると pdf で大きく表示できます。
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[POWER-1] 基板でダイナモ発電の交流を直流に変換(整流)します。
ダイナモ発電機は3相交流出力です。
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[POWER-2] 基板は定電圧回路です。
回転具合で不安定になるダイナモ発電電圧を安定化します。
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[POWER-3] 基板は LED ライト用の電圧昇圧回路です。
この程度の回路で昇圧できるんだ ・・・ 今後の工作に応用できそうです。
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電解コンデンサに中国製(台湾かも)が使われているので、このラジオは中国(台湾かも)の工場で製造されたと思います。
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下の写真は [ラジオ基板] [スピーカ] です。
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[ラジオ基板] を外すには前面にある2個のノブを外す必要があります。
ノブは引っ張って外しますが、かなり固いです。
アメゴムを使うと簡単に外せます。
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[ラジオ基板] には
SA2111C
が使われており、この IC でほぼ全てのラジオ機能を実現しています。
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[AM フロントエンド] [AM IF] [AM 検波] [FM フロントエンド] [FM IF] [FM 検波] [FM MPX] [インディケータ LED 駆動回路] を内蔵しています。
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FM 検波はセラロックを使ったクォードラチュア検波です。
無調整回路となっています。
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FM MPX は
データシート
によるとステレオセパレーションが 45dB 出ることになっています。
実際にはこんなに出ないと思いますが ・・・
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[ラジオ基板] にはパワーアンプの
TDA2822
が使われており、この IC で2個のスピーカを駆動します。
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当たり前ですが、ステレオラジオなのでスピーカは2個あります。
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このラジオが中学校の組立教材として使われていたとのことですが、バラバラの部品を1から基板に実装するのは中学生には難し過ぎると思います。
教師にとっても指導が難しいと思います。
おそらく、基板は完成品で用意され、これらの間を配線する程度のキットだったと想像します。
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リペア
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ロッドアンテナがグラグラしていたのは、取付ネジが緩んでいただけでした。
再締付で直りました。
補強の意味で M3 平ワッシャ追加とネジロック剤塗布しました。
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LED ライトの透明プラスチックレンズのキズは
プラスチックみがきクロス
でマイクロ研磨して完璧に直りました。
使ってみました
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デザイン
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シルバーとブラックのツートーンが基調のかなり良いデザインと思います。
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分解で判ったようにシッカリした作りです。
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取扱説明書を読まなくても悩まずに操作できる簡単ラジオです。
そもそも取扱説明書の添付はなかったのですが ・・・
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乾電池またはダイナモで駆動できますが、外部電源 (AC アダプタなど) での駆動はできません。
このサイズのラジオとしては、逆に珍しいです。
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感度や音質
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ローカル放送を聴くのに十分な感度があります。
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FM 放送でちゃんとステレオ受信できています。
ステレオ感もあります。
このクラスのラジオでスピーカ2個付いたステレオラジオは珍しいです。
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AM 受信での選択度はワイド過ぎるようで、2つの放送局の周波数が近いと混じって聴こえることがあります。
逆に言うと、受信音は高音まで伸びているとも言えます。
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当たり前ですが、ラジオ音質です。
音域は狭いですが、そう不満もありません。
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FM も AM も同じくらいの音質に聞こえます。
逆に言うと AM でも音質に不満を感じません。
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その他
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FM/AM 受信では同調インジケータ [AM-FM LIGHT] で的確に同調できます。
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AM 受信中に LED ライトを ON にするとキュルキュルという雑音が入ります。
これは [POWER-3] 基板の電圧昇圧発振器の影響です。
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ダイナモ発電で数分充電すると30分程度ラジオが聴けました。
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突然災害が発生してラジオを使おうと思ったら電池がない! ・・・ ダイナモ発電なら電池がなくてもラジオを聴けるので安心です。
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しかも、USB 端子の +5V から携帯電話やスマホに充電もできます。
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FM は 76〜108MHz が受信できるので世界中で使えます。
間もなく
FM 補完中継局
が開局するので、これから役に立ちそうです。
AM 放送が FM でも聴けます。