DENON S-52

DENON S-52

DENON S-52 をゲット！

2015年10月18日、パーソナルオーディオシステムの DENON S-52 の中古ジャンク品をハードオフ草加西店で税込1,620円で購入しました。

2007年12月発売の製品で、定価は税抜83,000円です。中古ジャンク品ですが定価の 98% 引きで買えたことになります。

Wi-Fi および有線 LAN を内蔵でネットワークプレーヤ機能があり、 DLNA による NAS からの再生や vTuner によるインターネットラジオ受信ができます。他に、FM/AM ラジオ受信 / CD 再生 / iPod 再生 / USB メモリ再生 / AUX 入力ができます。

FM 受信範囲が 76～108MHz で FM 補完放送にも対応しているのが嬉しい！

もちろん、私は インターネットラジオ が狙いです。

写真の底に敷いた一枚板は、実は まな板 です。サイズはピッタリで、引き締まった低音を出す効果があります。 S-52 をどう料理しよう！

状態チェック

お店のチェックコーナで
- この値段で、しかもジャンクなので、トップ面に目立つスレやスピーカ用メタルネット左側に僅かな変形があるのは了解です。
- 付属品は [Wi-Fi アンテナ] [リモコン] [FM ワイヤアンテナ] [電源ケーブル] [iPod アダプタ] で、[AM ループアンテナ] は欠品です。
- 正常に電源 ON できて、操作してみるとそれなりに動作します。インターネットラジオのメニューも出ます。
- ラジオ受信を確認したかったのですが、同調操作ができませんでした。音量を上げるとサーという雑音が聞こえたので良しとしました。
自宅に持ち帰り、更にチェック
- どうも [-] [+] ボタンが反応していないと思われたので KURE エレクトロニッククリーナでトップパネル面から簡易洗浄してみました。
  - 結果、操作できるようになりました。お店でラジオ受信できなかったのも、このためでした。
  - サービスマニュアルを見ると各ボタンはダイオードマトリックス式ではなく、ON 時の電流値で判断する2線式となっています。
    - 2線式ではボタンに使っているタクトスイッチの ON 抵抗が大きくなると違うボタンが押されたと誤認識する可能性があります。
    - この際、タクトスイッチを一斉交換したほうが良さそうです。
- Wi-Fi / 有線 LAN 共に正常に動作しネットにつながりました。
  - ただし、[WLAN ANTENNA] 端子の取り付けナットが緩んでいます。
- インターネットラジオは正常に受信できました。
  - ただし、既に前オーナの vTuner ユーザアカウントが設定されているようで、これをどのように削除または変更するのかが問題です。
- FM 放送は良好に受信できました。ステレオにもなります。
- AM 放送は手持ちの AM ループアンテナを取り付けたら受信できました。
  - 純正品はシールド被服付きなので、ここも同じ仕様の AM ループアンテナとしました。代替品ですが、純正品とほぼ同じと思われます。
  - ただし、受信感度がやや落ちているようです。
- USB メモリからの音楽再生は正常でした。デザイン面から USB メモリには親指の爪サイズのマイクロ型を使ったほうが吉です。
- CD は正常に再生できました。 CD のセットはトレー式ではなく、吸い込み式です。
- 以上より、ほぼ全ての機能が正常と判り ラッキー！
おそらく前オーナはボタンが反応しなくなって寿命と思い込み、ハードオフにタダ同然で捨てたのだと思います。
- ハードオフでは、ボタンの不具合でマトモにチェックできないのでジャンク格安にしたのでしょう。それにしては1,620円と少々高いですね。
- 捨てる神あれば拾う神あり！

メンテナンス ・・・ 1,620円でこれだけ遊べて幸せ、元は取った気がする！

タクトスイッチの一斉交換
- タクトスイッチに劣化がみられることより、一斉交換しました。全部で13個です。
- 写真の左側は元実装されていたもので、右側は交換したものです。元は基板からの高さ 4.3mm の四角型 2P でしたが、ラジアル型 2P に交換しました。
- 交換したラジアル型タクトスイッチは ALPS SKRGAAD010 (高さ 4.3mm) です。
  - 千石電商で10個テーピングされたものが税込150円でした。 (1個あたり15円)
  - ラジアル型は密閉度が高そうで、四角型より耐久性がありそうな気がします。
  - ラジアル型のリード線は抵抗器と同じでフレキシビリティがあり、半田付けもし易いです。
- 今回はサービスマニュアルが入手できたので迷わず作業できました。
  - 分解はボトム側からアクセスする構造です。
  - 操作ボタン (タクトスイッチ) はトップ面にあるので、ほとんどバラバラに分解することになります。
  - まず、スピーカユニットが外れ→ CD ドライブが外れ→メインアセンブリが外れると、やっとタクトスイッチが載っている基板が外せます。
  - メイン基板を見ると LSI だらけで、従来のオーディオ機器の感覚からはほど遠いです。まるでコンピュータの基板みたいです。
[WLAN ANTENNA] 端子の取り付けナットが緩んでいる
- タクトスイッチ交換で分解したついでに、取り付けナットを増し締めして直りました。
AM 受信感度がやや落ちている
- ラジオ機能はチューナパックで実現しています。
- タクトスイッチ交換で分解したついでに、チューナパックの AM RF 同調コイルと OSC 同調コイルを再調整して感度が大きく上がりました。
  - チューナパックの上蓋を外して AM アンテナ端子近くにある赤と黒の IFT 状コイルのコアを回します。
  - 使用する AM ループアンテナを接続して、同調周波数を 1,000kHz の近くの放送局とし、音量が一番大きくなるように調整します。
- 再調整後に感じたのですが、AM はかなり高感度でバリバリというノイズにも強いようです。

CD 再生は正常でしたが・・・

サービスマニュアルにレーザピックアップの良否を判定する方法が記載されていたので、念のためやってみました。手順は以下です。

判定基準は [レーザピックアップ電流の現在値が初期値の 150% を超えると、レーザピックアップの寿命] です。
結果は、[T21 3121 3403] だったので初期値=31.21mA、現在値=34.03mA です。 34.03/31.21 = 109% なので、まだまだ使えます。

手順	操作
1	AC ケーブルをコンセントから抜く。
2	S-52 本体の [▲] [DIMMER] ボタンの両方を押しながら AC ケーブルをコンセントに接続する。
3	ヒートランモードが設定され、[SOURCE] [RETURN] LED が両方とも点灯することを確認する。
4	[RETURN] ボタンを押す。
5	音楽 CD を挿入する。
6	[+] ボタンを押して、LCD 表示が [T2 LaserOnOff] になったことを確認する。
7	[>] ボタンを押すと、LCD に [T21 mmmm nnnn] が表示される。(mmmm, nnnn は数字) 　レーザピックアップ電流： mm.mm (mA) が初期値、nn.nn (mA) が現在値

タクトスイッチ交換で分解したついでに、レーザピックアップのレンズを無水アルコールで清掃しました。もう完璧です。

vTuner に設定されている前オーナのユーザアカウントの削除または変更が必要
- アカウント変更には既に設定されている [メールアドレス] [パスワード] [S-52 の MAC address] が必要ですが、最初の2つが判らないのです。
- 悩んでも仕方ないので、 vTuner Customer Service の問い合わせフォームに日本語で対応依頼しました・・・ 3日経っても回答が来ない。
- 日本語じゃダメなのかなぁ (vTuner 社はニューヨーク) と思い直し、今度は英語で対応依頼しました・・・半日で回答が来ました！
  - 正しいユーザか確認するためと思われる
    "Please provide first name of favorites list on your device so we can be able to assist you in changing the email address."
    の情報提供依頼があり、もちろん英語で返答しました。
  - 適切な質問と思います。現物を持ってないと正しい返答ができないですからね。
- 数日後に vTuner Customer Service から対応完了通知がありました。
  - vTuner Customer Service のほうで vTuner アカウントを [(私の)メールアドレス] と [(仮の)パスワード] に変更してくれました。
  - 通知を受け取って速攻で仮パスワードを正式パスワードに変更しました。
- やっと、[vTuner アカウント] の制御権が私に移りました・・・パチパチパチ！！！
  - 自分でアカウントリセットした訳ではないのに誇らしい気分です。
  - きっと、ネイティブでない英語を駆使して、ちゃんと交渉できたことの達成感でしょう。執念です。為せば成る！

使ってみました

デザインなど
- まず驚くのは 6.7kg という重量級の重さ。
  - 巨艦バリコンチューナより重いです。反対にどっしりとした安定感があります。まるで横綱さん。
- 外観はパーソナルオーディオシステムとしてオーソドックスなごく普通のデザインです。
  - サイズは 380(W)×126(H)×226(D)mm と大きめの CD ラジオよりは小さいです。
  - ところが重い・・・部品がギッシリ詰まっている感じがします。
- 表示器はバックライト付グラフィックモノクロ LCD です。
  - 表示ドット数は多く、文字がなめらかで見易いです。
  - [DIMMER] ボタンでバックライトの明るさを3段階 (明/中/暗) に調節できます。
  - LCD ということで寿命や劣化の心配が少ないのが良いです。
- コンセプトは お気軽プレーヤ です。録音機能はありません。
- 電源は内蔵しており、メガネ型 AC ケーブルで AC100V コンセントにつなぎます。あの邪魔になる AC アダプタが不要なのが良いです。
操作
- 上部中央に扉があり、開けると iPod Dock コネクタが現れます。 iPod を装着して再生できます。
  - S-52 が発売された頃は iPod に充電できましたが、2008年7月以降発売の iPod から電源仕様が変更になり充電できなくなったらしい。
- 操作ボタンなどは少なくシンプルです。
  - 本体にあるのは、13個のボタン、2個のスイッチ、ジョクダイヤルだけです。
  - 操作は LCD ディスプレイを見ながらのメニューオペレーションです。適切なメニューが出るので取扱説明書要らずです。
    - 操作メニューは英語ですが、曲名は日本語表示できます。
  - 本体だけでほとんどの操作ができますが、ラジオのプリセットなどごく一部の操作でリモコンが必要になります。
    - これは、リモコンにはある [PLAY MODE] [DISPLAY] [FAVORITE] [PRESET RADIO] ボタンが S-52 本体には無いからです。
- [FUCTION] ボタンが電源ボタンに相当します。
  - [FUCTION] ボタンで FUCTION ON / OFF をトグルします。
    - FUNCTION ON は一般に言う電源 ON で、FUNCTION OFF はレジュームです。
    - FUNCTION OFF → ON でホットスタートし、FUNCTION OFF する直前の状態を回復します。
  - [FUNCTION] ボタンを長押しすると、スタンバイ (電源 OFF) になります。
    - スタンバイ → ON するとコールドスタートするので時間がかかります。
    - 有線 LAN / Wi-Fi の切り換えなど初期化を要する場合は、一旦スタンバイにしてコールドスタートします。
機能
- 機能的には何でもありで、普通のユーザならこれ1台でオーディオ環境が揃います。
  - 高級インターネットラジオとして使えます。 FM/AM 受信、CD 再生、USB メモリ再生もできます。
  - FM 受信範囲は 76～108MHz で FM 補完放送にも対応しています。
    - 今はなきアナログテレビ音声が受信可能という時代遅れのスペックが幸いしました。
    - 76～90MHz では 100kHz step、90～108MHz では 50kHz step で同調します。
  - AUX 入力ができてアクティブスピーカのような使い方ができます。
  - ネットワーク経由で NAS の音楽ファイルを再生できます。 2008年7月22日のファームウェアアップデートで DLNA にも対応 しています。
- お気に入り (FAVORITE) 機能
  - [インターネットラジオ] [PC ミュージック] [FM/AM 放送局] を [お気に入り] に登録できます。全部で50個まで登録できます。
  - [お気に入り] に登録するには、リモコンの [FAVORITE] ボタンを長押しするのが一番簡単です。
  - ちょっと困った仕様
    - 50個もお気に入りメモリがあるのに、その登録された項目を選ぶには、1個ずつ順に表示するしかないです。疲れます。
    - [お気に入り] の個々のデータの消去ができません。 50個を超えると自動的に古いデータから消えます。工場出荷状態に初期化すると全部消えます。
    - お気に入りの項目の順番を変更することができません。忘れ防止のメモ代わり程度の仕様のようです。
- FM/AM 放送局用のプリセットメモリがあります。
  - ラジオ専用プリセットメモリで、56個あります。最大8文字までの放送局名もプリセットできます。
  - 56個のプリセットメモリは8個ずつに区切られ A～G のグループとしてコールします。
    - [A1～8] [B1～8] ・・・ [G1～8] のようになります。
    - A1～G8 まで連続して順番に選ぶ方法と、[-] [+] ボタンで A～G グループにジャンプしてから選ぶ方法があります。
  - ちょっと困った仕様
    - プリセットメモリの個々のデータの消去ができず、上書きしかできまません。工場出荷状態に初期化すると全部消えます。
  - プリセットメモリと別物の [お気に入り] に登録もできます。
- NTP によるインターネットからの自動時刻合わせ機能があるので楽です。時刻も正確です。
  - 2つのアラームやスリープタイマもあります。
接続端子
- 前面には [AUX IN] [ヘッドホン] [USB] 端子があります。
- 背面には [AM LOOP ANT.] [FM COAX] [AC IN] [ETHERNET] [REMOTE CONTROL] [MONO OUT] [WLAN ANTENNA] 端子があります。
  - [MONO OUT] 端子はサブウーファ用です。
  - [REMOTE CONTROL] 端子は将来用らしく、使い道がありません。
  - LAN は、有線なら [ETHERNET] 端子を使い、無線なら Wi-Fi 接続します。 IEEE801.11b/g の Wi-Fi 機能を内蔵しています。
  - FM アンテナ入力は F 端子 です。本格的なアンテナにも対応します。
- 残念ながら、LINE 出力端子や S/PDIF 出力端子はありません。
インターネットラジオ機能
- vTuner のインターネットラジオサービス
  - 世界中のインターネットラジオ放送が聴けます。自宅に居ながら沖縄やハワイのリゾート気分に浸れるのが嬉しい。
  - 日本のコミュニティ FM やアメリカの FM のサイマル放送もリアルタイムで聴けます。
- ビットレートが 128kbps 以上だと音質も良好
  - ノイズは全くありません。マルチパス歪もありません。ステレオセパレーションは非常に良いです。ある意味、FM/AM ラジオより良いです。
- プリセット
  - vTuner システムが持っている [Favorites] [Added Stations] にプリセットできます。
    - [Favorites] はフォルダを作成してプリセット登録できます。
    - [Added Stations] は放送局名やプロトコルなどを指定してマニュアルでプリセット登録できます。
  - プリセット機能を使うには DENON 専用 vTuner ポータルサイトに S-52 の MAC address を登録してリンク付けします。
    - パソコンからポータルサイトをアクセスし、インターネット放送局を検索して [Favorites] にプリセットできます。
      - S-52 本体だけで目的の放送を見つけるには忍耐が必要ですが、パソコンからだとキーワードを使って検索できるので、ずっと楽です。
      - プリセットした放送局の表示順番を変えたり (sort)、個別に消去もできます。優秀です。
    - プリセットされた放送局は S-52 本体からも参照することができます。あたかも S-52 にプリセット記憶しているかのように錯覚します。
    - [Favorites] のプリセットメモリは向こう側 (vTuner 側、すなわちクラウド) にあります。
  - プリセットとは別物の [お気に入り] に登録もできます。 vTuner システムの [Favorites] とお気に入り機能の [FAVORITE] は名前がほぼ同じですが別物です。
評価
- 音質
  - 解像度感があって、低域の厚みを持った迫力のある音です。 DSP 処理によって音作りされていると思いますが・・・
  - 底面にドロンコーンが仕組まれており、低音は豊富に出ます。高音もほどよく出ます。
  - セパレーションが良く、Hi-Fi 調に聴こえるので 音質満足度は高い です。
  - どんな Lo-Fi ソース (例えば AM ラジオ) であっても、それなりに綺麗に聴こえます。
  - パーソナルオーディオシステムは聴きやすければ良いのです。誰もピュア Hi-Fi を期待していないでしょう。
- お奨めできます！
  - 気軽にインターネットラジオ放送を楽しめるのが嬉しい！
  - 通常の FM 放送に加えて FM 補完放送も受信できるのが素敵！
  - 2007年発売ですが、(iPod 対応を除いて) 現在でも優秀です。むしろ、現在ではインターネットラジオ付きのパーソナルオーディオシステムがほぼ全滅なので貴重です。
- 私が入手した S-52 にはキズ等があって外観がやや悪い (離れて眺めると判らない程度) ですが・・・
  - そうなら考えを改めて、新たに生じるキズなどは気にせずガンガン使うマシンとして活躍してもらいます。 1,620円の元を取るぞぉ～

工場出荷状態に初期化する方法

初期化すると、[お気に入り] [ラジオのプリセット] [Wi-Fi 設定] が完全に消えます。 (その他にも消える情報があるかも)

従って、覚悟して実行してください。

手順	操作
1	AC ケーブルをコンセントから抜く。
2	S-52 本体の [+] [MUTE] ボタンの両方を押しながら AC ケーブルをコンセントに接続する。
3	LCD に [INITIALIZE] が表示されたら、2つのボタンから指を離す。

仕様その他

ドキュメント
レビュー記事
- デノン「S-52」は、無線でも有線でも使える iPod ミュージックシステム
- S-52 デノンワイヤレスネットワーク CD ミュージックシステムパーソナルオーディオシステム試用レポート
仕様は以下です。

発売時期/定価

発売時期 2007年12月上旬

定価 83,000円 (税抜)

発売時期/定価
発売時期	2007年12月上旬
定価	83,000円 (税抜)