SOPUDAR SPD-240W をゲット! ・・・ しかし???
2014年6月20日、
amazon
の T 社に発注した 24V/10A 240W スイッチング電源の SOPUDAR SPD-240W が到着しました。
税込1,669円+送料750円=合計2,419円 でした。
早速使おうと、試しに8Ωの抵抗をつないでみると、出力電圧が 18V 程度に低下してしまいます。
24V に 8Ω ですから、たった 3A 流そうとしただけです。
amazon 経由 T 社にクレームレターを入れたところ、
「不良と考えられるので、もう1台 SPD-240W を送る。不良の SPD-240W はそちらで処分してほしい。」
との回答でした。
7月2日に新しい SPD-240W が到着しました。
早速、試してみると、規格内で電流を流しても電圧がダウンすることなく正常でした。
当初の目的を達成したので、普通は拍手パチパチパチで終わりです。
ところが、普通でない私は
「不良 SPD-240W のどこが故障しているのだろう? 修理できないかしら。」
と考え、
この物語の幕が開きました。
新旧 SPD-240W の違い
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ともかく物が違う
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不良品を [旧 SPD-240W]、新しく送られてきた良品を [新 SPD-240W] と表現します。
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右の写真は [新 SPD-240W] です。
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[旧 SPD-240W] は黄色のシールより 2013年11月製造 と判りました。
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[新 SPD-240W] は黄色のシールより 2014年3月製造 と判りました。
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[旧 SPD-240W] [新 SPD-240W] のパンチングメタルカバーより内部を覗いて見える基板が全く違います。
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AC 入力電圧を 115V/230V に切り換えるスライドスイッチ
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[新 SPD-240W] には、このスイッチが側面にあります。
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[旧 SPD-240W] には、このスイッチがありません。
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右の写真は当然ですが [新 SPD-240W] です。
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端子の数と電圧調整ボリュームの色
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写真の上側が [旧 SPD-240W] で、下側が [新 SPD-240W] です。
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[旧 SPD-240W] の端子数は7個です。
左から [L] [N] [FG] [COM] [COM] [+V] [+V] です。
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[新 SPD-240W] の端子数は9個です。
左から [L] [N] [FG] [COM] [COM] [COM] [+V] [+V] [+V] です。
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[旧 SPD-240W] の端子の右にある電圧調整ボリュームの色が青です。
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[新 SPD-240W] の端子の右にある電圧調整ボリュームの色が橙です。
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同じところもある
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サイズは、新旧どちらも同じです。
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右の写真は本体に貼り付けられている [型式シール] です。
新旧どちらも同じです。
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ハタッと気が付いたのですが、新旧どちらにも製造番号がありません。
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メーカの SOPUDAR は中国シンセンに在ります。
中国製品で製造番号を見たことがありません。
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品質管理は製造番号をキーとします。
製造番号が無い!ということは、品質管理はやっていないとしか考えられません。
作り放しなんでしょう。
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ロット不良などが発生したらリコールはどうするのでしょう??? ・・・ 製造番号がないので製造履歴を追えず、追跡も不可能です。
きっと中国には、品質保証という考え方そのものが存在しないのでしょう。
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小さなことは気にしない大らかな中華です。
さすが〜〜と驚嘆します。
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中華製品を買うということは一種の博打 ・・・
旧 SPD-240W の修理に挑戦
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修理するには、まず敵を知る必要あり
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[旧 SPD-240W] の処分は私に委ねられており、販売会社の T 社は所有権を放棄しています。
すなわち、焼くなり煮るなり、どう処分してもイイはずです。
その処分の1つの選択肢として修理に挑戦することにします。
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右の写真は、[旧 SPD-240W] のパンチングメタルカバーを取り外した状態です。
作りは良いです。
写真をクリックすると大きな画像が表示できます。
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電解コンデンサは中国製です。
中国製の電解コンデンサは品質がイマイチです。
数年使うと液漏れする恐れありです。
そのうち、日本製の電解コンデンサに交換したほうが良さそうです。
日本製の電解コンデンサなら20年以上使っても液漏れすることはないです。
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変な言い方かもしれませんが、電解コンデンサ以外の部品は中国製でないので問題なさそうです。
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基板パターンから回路図化
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やはり回路図があったほうがジックリ不良原因を検討できます。
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この程度の部品点数なら4時間、すなわち半日もあれば、基板パターン調査から CAD 入力まで完了します。
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右の図が基板パターンから起こした回路図です。
右の回路図をクリックすると大きな pdf 回路図が表示できます。
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オーソドックスな回路ですが、要の PWM 電力制御に
KA7500B
を使い、スイッチング素子に Power MOS-FET の
2SK1011,
2SK1014
を使っています。
マトモというか、すごく良いです。
KA7500B は TI の
TL497A
と同じです。
TL497A のほうがオリジナルです。
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D1, C6, C7 の辺りが整流回路、T3, Q1〜2, T1, IC1, Q4〜7 の辺りが主電源、Q3, T2 の辺りが補助電源です。
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回路図を検討して不良原因を追究
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デジタルマルチメータで部品を1点1点、故障していないか調査したところ、不良部品はないと判明しました。
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どこも故障していないのです。
これでは、そもそもの仕様を疑う必要があります。
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そこで思い当たったのは、
この電源は 220V (230V) 専用品かも?
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AC220V で動作させることを前提とした電源に AC100V で動作させようとしてもマトモに動きません。
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型番シールの [AC INPUT 110V/220V] なんて大らかな中華製では信じないほうがよいです。
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もし、110〜220V まで連続動作するなら [AC INPUT 110-220V] と書くほうが自然です。
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この証拠に、[新 SPD-240W] には「AC 入力電圧を 115V/230V に切り換えるスライドスイッチ」があります。
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AC 入力電圧仕様を 110V (115V) 仕様に改造
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この改造は、実は非常に簡単です。
ジャンパ線1本飛ばすだけです。
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右の回路図は D1, C6, C7 で構成される整流回路です。
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日本の電灯線電圧 AC100V として説明します。
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この場合、V+〜V- 間には 100V の√2倍の DC141V が出力されます。
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右の回路図は [1] の回路図を書き換えただけです。
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従って、V+〜V- 間には DC141V が出力されます。
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右の回路図は [2] の回路図に太い線で示したジャンパ線を1本飛ばしたものです。
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このジャンパ線によって、変な電流が電解コンデンサに流れて爆発しないのか!
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心配いりません。
ただし、動作が変わります。
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右の回路図は [3] の回路図を書き換えただけです。
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書き換わった回路図を見ると、教科書通りの
全波倍電圧整流回路
に変身したことが判ります。
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倍電圧整流なので、V+〜V- 間には DC282V が出力されます。
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この電圧なら主電源、補助電源とも正常に働きます。
すなわち、110V (115V) 仕様に変身したのです。
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[3] の回路図の太い線は、[新 SPD-240W] の「AC 入力電圧を 115V/230V に切り換えるスライドスイッチ」に相当します。
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実際に改造しました。
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D1 裏側近くで、右の写真の赤楕円で囲まれた部分にジャンパ線を飛ばします。
この写真ではジャンパ線をハンダ付け済みです。
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改造されることを見込んでいるためか、ジャンパ用の丸いランドパターンがありました。
これより、[旧 SPD-240W] は、やはり AC220V 専用品だったと確信しました。
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基板パターンから回路図化した図面に [SP110V] というショートポイントを書き込んでありますが、これは基板のシルク印刷にあったものはなく、私が説明的に書き込んだものです。
このショートポイントがオープンで 220V 仕様、ショートで 110V 仕様になります。
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改造後の動作 ・・・ 良好!
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10A までの電流を流してみて、出力電圧が 24V で安定なことを確認しました。
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電源のどこにも悪いところはなく、単に仕様が合っていなかっただけでした。
修理ではなくて改造となりました。
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やはり、大いなる中華です。
220V 専用仕様でも型式シールの [型式] [AC INPUT 110V/220V 50/60Hz] には変更なしですから、大したものです。
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本当の拍手パチパチパチ!!!