SONY ST-S333ESXU (3号機) が到着
2022年6月8日、川崎市の S さんより
SONY ST-S333ESXU
の修理依頼品が届きました。
S さんの自家配送です。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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同調周波数が 0.1MHz ズレています。
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温まるとステレオ受信が安定しなくなります。
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リレーがカチカチして周波数ロックしなくなります。
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外観
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製造シリアル番号は [206154] で、電源コードの製造マーキングより1987年製とわかりました。
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[フロントパネル] [リアパネル] [底板] [サイドウッド] は綺麗です。
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[天板] に1本線キズがありスレも見られますが、概ね綺麗です。
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純正 AM ループアンテナが添付されていました。
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到着した状態のまま電源 ON してチェック
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電源は問題なく入りました。
ディスプレイの輝度は明るく、新品同様です。
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FM 受信
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80.0MHz の電波が 79.9MHz で受信します。
-0.1MHz 周波数ズレしています。
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周波数ズレのまま受信してみると、[STEREO] ランプが点灯し、音にもステレオ感があります。
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AM 受信
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カバーを開けてチェック
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基板に汚れはありますが、概ね綺麗です。
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IFT のケースに粘着ゴミが付着していましたが、何でしょうね?
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無水アルコールで軽く拭き取れたので、特に問題はないでしょう。
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基板のリア側中央を留めるネジがありません。
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このネジは基板のアースを筐体に落とす重要な役目があるので、無いとおかしいです。
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ST-S333ESXU (1号機)
の写真を見ると、ここのネジはちゃんと留められています。
右の写真は1号機の該当部分です。
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本機ではネジで留まっていた形跡もありません。
製造時の付け忘れか?
リペア
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基板を留めるネジが1本足らない
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FM で同調ズレしている
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[温まるとステレオ受信が安定しなくなる] [リレーがカチカチして周波数ロックしなくなる] の原因でもあるでしょう。
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同調検出用の IFT205 を調整して直りました。
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アースバーを目視チェックするとハッキリわかる半田クラックが数か所発生している
再調整
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電源電圧チェッ (VP)
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特に問題なく良好です。
VP |
標準値 |
実測値 |
備考 |
JP4 |
+16V |
+15.0V |
チューナ用 |
JP5 |
+13V |
+13.0V |
FL 管用 |
JP6 |
+5.6V |
+5.54V |
デジタル用 (MCU) |
JP7 |
+30V |
+30.4V |
VT 電圧用 |
R909(R) |
-10V |
-9.65V |
コントロール用 |
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調整結果
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ST-S333ESXU (1号機)
に記載の調整手順にて再調整しました。
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再調整後は、超優秀な性能とわかりました。
以下のように非常に良好な数値です。
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ステレオ時の高調波歪率は 0.014% (WIDE 1kHz) でした。
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モノラル時の高調波歪率は 0.012% (WIDE 1kHz) でした。
項目 |
IF BAND |
L |
R |
単位 |
ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
70 |
65 |
dB |
NARROW |
31 |
42 |
dB |
パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
-72 |
-78 |
dB |
オーディオ出力レベル偏差 (mono) |
0 |
+0.01 |
dB |
CAL TONE 信号 (mono) |
323.0 |
Hz |
-5.6 |
-5.6 |
dB |
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AM は純正ループアンテナで最高性能になるよう調整しました。
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良好に受信できます。
感度は良く、(AM 放送としては) 音も良いです。
使ってみました
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デザイン
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サイドウッド付きでとっても高級感あります。
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後継機の
ST-S333ESG
よりシンプルなデザインですが、むしろこちらのほうが使いやすいです。
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(C リングパネルがないので) 直接的な快適ボタン操作ができます。
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感度と音質
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FM の感度は抜群に良く、S/N が良いです。
細かい音がよく聴けます。
FM 放送らしい柔らかめの音質です。
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AM の感度も抜群に良く、S/N も良いです。
AM としては音質も良く、放送を楽しめます。