KENWOOD KT-V990 (3号機) が到着
2022年6月8日、川崎市の S さんより
KENWOOD KT-V990
の修理依頼品が届きました。
S さんの自家配送です。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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0.1MHz ズレてますが受信は出来ます。
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温まるとステレオ状態が安定しなくなるみたいです。
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外観
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製造シリアル番号は [80700336] で、電源コードの製造マーキングより [1988年製造品] とわかりました。
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フロントパネルは綺麗ですが、やや汚れがあります。
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チュ−ニングノブの動きが少し硬いです。
ノブのエッジ部に少しハゲがあります。
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リアパネルには僅かにスレがありますが、綺麗です。
端子類も問題ありません。
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天板には上に載せられていたアンプ等の足跡とややスレがありますが、概ね綺麗です。
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底板は問題なく綺麗です。
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電源 ON してチェック
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電源は問題なく入りました。
ディスプレイに劣化は全くなく、新品同様の輝きです。
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操作ボタンの動作は正常です。
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FM は -0.1MHz 周波数ズレしています。
80MHz の放送が 79.9MHz で受信します。
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AM は正常受信できまました。
感度も問題ないです。
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TV は、もう地上アナログテレビ放送が消滅したので無チェックです。
リペア
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FM で同調ズレしている
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[温まるとステレオ状態が安定しなくなる] の原因でもあるでしょう。
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同調検出用の [L9] を調整して直りました。
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フロントパネルにやや汚れがある
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チュ−ニングノブの動きが少し硬い
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ノブ軸に無水アルコールを少量含ませ、軸を回転してグリスを軟化させてマシになりました。
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天板に足跡とスレがある
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特に何も対策していませんが、ラックに入れると見えない部分なのでそう気にすることはないです。
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どうしても気になるのであれば、再塗装はビニコート板には合わず、カーラッピングシート貼り付けがお奨めです。
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今だったらカーボン調がクールです。
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カーラッピングシートは伸び縮みするのでドライヤで加熱して曲線部分にも貼れます。
再調整
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KT-V990 (1号機)
に記載の調整手順にて再調整しました。
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特に [FM フロントエンド] [PLL 検波] [DCC 歪補正] が大きく調整ズレしていました。
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再調整後は、超優秀な性能とわかりました。
以下のように非常に良好な数値です。
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ステレオ時の高調波歪率は 0.018% (WIDE 1kHz) でした。
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モノラル時の高調波歪率は 0.017% (WIDE 1kHz) でした。
項目 |
IF BAND |
L |
R |
単位 |
ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
70 |
70 |
dB |
NARROW |
25 |
25 |
dB |
パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
-83 |
-77 |
dB |
オーディオ出力レベル偏差 (mono) |
0 |
-0.01 |
dB |
CAL TONE 信号 (mono) |
387.6 |
Hz |
-7.7 |
-7.7 |
dB |
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AM は純正ループアンテナで最高性能になるよう調整しました。
使ってみました
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デザイン
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フロントパネルは厚いヘヤラインアルミ材が使われ高級感があります。
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この機能的なデザイン、何度見てもイイなぁ〜と思います。
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フロンパネルのボタン類がうまく整理されており、スッキリ感があります。
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感度や音質
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電波の弱い局でもそれなりにちゃんと聴くことができ、電波の強い局は高 S/N で聴ける実力があります。
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FM はなかなか良い音です。
高音域がシャッキとした音質で、
ハッとするような素晴らしくクリアな音
です。
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AM の感度は良く、音は普通です。